本プロジェクトは、平成12年度から平成15年度までの4年間、
国際開発救援財団の「民間海外援助活動に対する助成金」を頂いて実施しました。

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同集落出身のアエタ族で、本プロジェクト担当スタッフであるメラニーさんは言います。
「私は、もう一度薬草を復活させたい。確かに、薬が買えないから、病院に行くお金が無いからという限られた条件にあります。薬ほどの効果は望めないかもしれません。だけど、私たちは長い間薬草を使ってきました。私たちの手による持続が可能であるという面で、薬草は大きな利点を持つのです。初期症状の治療という面で、薬草は必要とされているのです。」




本プロジェクトは終了いたしました

1991年のピナトゥボ山の噴火は、アエタ族に生活の激変を強いることとなりましたが、それは彼らの医療面でも同様のことでした。


噴火以前、アエタ族の薬草に関する知識は豊富で、自生する多くの薬草や薬樹を利用して様々な治療に利用していました。しかし噴火後、多種の薬草・薬樹が繁茂していた森林の喪失は、その治療手段も奪う結果となりました。さらには、生活の激変によりそれらの知識を持つ老人たちの伝承意欲をも奪うこととなったのです。

近代医薬は依然として高価であり、現金収入をそれほど持たないアエタ族の人々が購入することは非常に困難です。一方、伝統的に使われてきた薬草・薬樹も喪失し、主だった医療手段をほとんど持たないという状況が見られていました。

このような背景から、薬草を主なツールとしてバリウェット集落に持続的な初期治療手段を確立することを目的として、1999年から本プロジェクトが始まりました。

実施前(1999年8月)と設置後(2003年3月)の薬草園。33種の薬草が生育しており、必要時に住民が自由に利用できる体制が維持されていました。
現在は、生育していた苗が各家庭に配布され、各自で管理が実施されています。
植林直後(2000年9月)と設置後(2003年4月)の薬樹園。29種の薬樹が生育しており、現在では必要時に住民が自由に訪れて利用しています。

1999年から2001年までの3年間は初期治療の普及を重点項目とし、アエタ族住民が必要時に常に薬草を利用できる環境を整備するため、バリウェット集落での薬草園・薬樹園の設置と管理活動を主に実施してきました。また、この薬草を効果的に利用していくために集落の母親を対象とした保健衛生講習会や乳幼児のための栄養指導講習会、青少年や父親対象の保健衛生講習会等を実施してきました。


2000年に実施した保健衛生講習会。薬草利用の講義と実演を行いました。
左:薬草の利用方法について学ぶアエタ族の母親たち。集落のお年寄りも指導に加わってくれました。(2000年)
右:保健衛生講習会は要望に応じて、バリウェット集落以外の9集落でも実施しました。カナイナヤン集落での薬草実演指導。(2003年)

また、2002年からは初期治療の持続性の確保を次の重点項目とし、上記の薬草園・薬樹園の管理活動、各種保健衛生講習会を継続すると共に、バリウェット集落の女性グループSAKAKA(Samahang Katutubo para sa Kalusugan=先住民族健康組合)を設立しました。また、このSAKAKAの自己資金基盤を確立していくためのバナナプランテーション推進(設置は2001年)等を実施してきました。

左:バナナ園の設置作業の様子(2001年)
右:収穫が得られる様になったバナナ園での管理作業の様子(2003年)

計画では、2003年がACTIONによるプロジェクトの最後の年となり、次年度からはSAKAKAが薬草園・薬樹園の管理を引き継ぎ、バナナプランテーションの収益を運用しながら、バリウェット集落での初期治療を持続的に実践していくことが期待されていました。そこで、2003年はこのSAKAKAの組織基盤の強化を重点項目として、SAKAKAへのリーダーシップトレーニング等に取り組んできました。
また、未登録であったSAKAKAを生活協同組合として、フィリピン政府への登録も実施しました。

SAKAKAメンバーへのリーダーシップトレーニングの様子。外部からファシリテーターを招待してワークショップと講義を実施しました。(2002年)

ここに至るまでの取り組みから、いくつかの好ましい変化も見られるようになりました。
各家庭の庭先にハーブを栽培して利用する家庭が見られたり、母親同士で知識や助言の交換が見られるようになったり、10代で医療知識の乏しい母親が積極的に活動に関わって知識取得に取り組む等の変化です。

リーダーシップトレーニングの様子。生活協同組合や貿易産業省、科学技術省の職員に指導してもらいました。(2003年)

しかし、当会による活動の終了後にも、SAKAKAが中心となって初期治療の実践を継続していくためには、大きな課題も残されていました。
中心となる活動の不足です。中心となる活動が薬草園・薬樹園の管理のみでは、SAKAKAメンバーの意欲が継続されていくことに大きな不安がありました。初期治療実践を継続でき、かつ母親達が意欲を持って継続できる活動の確立が必要でした。


そこで、その活動の核として目をつけたのが、パパイヤやアカプルコ等、薬草園・薬樹園で生育しているハーブを利用した石鹸の作成です。
このハーブ石鹸作成は、フィリピン保健省(Department of Health)内の薬草利用推進機関であるPhilippine Institute of Traditional and Alternative Health Care(PITAHC)に指導してもらって作成を開始したものですが、元々は母親達が薬草への興味を持つようになることを期待して実施したものでした。

カラマンシーを利用して石鹸を作製するバリウェット集落のSAKAKAメンバー(2002年)

しかし、試験的に販売してみたところ、予想以上に売れ行きが好ましかったこと、作成もそれほど困難ではなく、多くの母親メンバーが新たに興味を持って参加するようになったこと等の変化があったため、ここから、初期治療継続のみではなく、ここで得た知識を生かしてライブリフッドの確立も目指すという新たな方向への転換を行いました。


そこで、当初の計画では2003年中には当会からSAKAKAへの協力を終了する予定でしたが、この計画の一部を変更して、2003年には薬草園・薬樹園・バナナ園の管理をSAKAKAメンバーに引き継ぎ、ハーブ石鹸作成に関しては1年間の協力の延長を行うこととなりました。

SAKAKAへの活動の引継ぎ式。ハーブ石鹸作成を除いて、薬草園・薬樹園・バナナ園の管理がSAKAKAメンバーに引き継がれました。(2003年)

2004年にはハーブ石鹸作成センターの建設や、貿易産業省へのハーブ石鹸の商標登録、貿易産業省の協力を頂いてのマネージメントトレーニング等を実施しました。

2004年に建設したSAKAKAセンター。完成後はセンターを利用してハーブ石鹸作成・包装等の一連の作業が行われています。

そして、2005年からは、ハーブ石鹸もこれまでにSAKAKAが貯蓄した収益を運用しての作成に切り替わり、現在に至るまでSAKAKAメンバーによる運営が行われています。
当会による資金的なサポートは2004年までに完全に終了しましたが、石鹸販売のためのマーケットの確保やマネージメントトレーニング実施等の運営面でのサポートは現在に至るまで継続中です。
また、現在のハーブ石鹸販売については、マニラ在住の日本人の皆様に多大なご協力を頂いております。

左:フィリピンの科学技術省の協力を頂いて、包装も改善しました(2004年)
右:貿易産業省主催のトレードフェア出展の様子(2004年)





本件に関するお問い合わせ先

ACTION Philippine Branch
c/o Jireh Home
Magsaysay, Castillejos, Zambales 2208 Philippines
電話・Fax 63-47-623-2410
e-mail:actionph@info.com.ph(日本語可能)
担当:門井 淳(かどい あつし)