本プロジェクトは、平成15年10月29日〜平成16年10月28日の1年間、
平成15年度日本NGO支援無償資金協力を頂いて実施しました。




本プロジェクトは終了いたしました






本プロジェクトは2003年10月末より開始した新しいプロジェクトです。
現在のバリウェット集落では主にキャッサバ等のイモ類の栽培、竹や野生バナナのつぼみの採集が主な生業となっています。噴火以前はほぼ自給自足の生活を行うことが可能であった集落のアエタ族ですが、現在はこの様な作物を栽培して町で販売して、その収益で米や他の食料や日用品を購入することが一般的となり、貨幣経済に接することの無い生活を送ることは不可能となっています。


バリウェット集落付近(左)と集落内の様子(右)。依然として火山灰が60cmほど降り積もっています。

しかし、依然として火山灰の残る土地では限られた作物しか栽培できないこと、また、これらのやせた土地で栽培できる作物は平地のそれに比べて競争力が弱く、安定した販路を持たないこと等の課題が見られています。そのため、集落のアエタ族は十分な所得を得ることができず、しばしば作物を不当に安い値段で売ることを余儀なくされている状況も見られます。


このような火山灰の積もる土地のため、作物はキャッサバやバナナ等わずかな種類に限られているのが現状です。

 このような背景を踏まえ、アエタ族の新たな生業として薬樹の栽培を普及していくのが本プロジェクトです。
この薬樹の栽培はフィリピンではまだなじみがあるものではありませんが、フィリピン国内でも徐々に製薬企業や海外との仲介業者等が、原料となる薬草の買取の市場を拡大している状況が見られています。いくつかの地域ではこれらの企業と提携して薬樹の生産を行う農家も徐々に増加しており、また、パラワン島では、NGOの指導でコミュニティーベースの栽培を実施し、貧困地域での生業として確立されている例も見られています。
また、バリウェット及び近隣集落は、排気ガス等の汚染の無い広大なエリアという必要条件にも当てはまる、当会の別プロジェクトの薬草による初期治療手段確立プロジェクトの薬樹園の生育状況が示すように、火山灰の降り積もる同エリアでも栽培が可能である、薬樹という競争力のある作物の栽培によって、安定した販路を得られるという利点があります。


栽培を普及させるサンボン(左)・ラグンディ(中央)・チャングバット(右)。アエタ族でも多用されている薬樹です。




火山灰の降り積もる山中でも、栽培が可能で、販路が確立できる作物を。
そして、その確立によって、各家庭が現金収入を得られる機会の増加を。

所得が不安定な状況に原因を発する人々が抱える問題、
家庭の仕事の手助けのために将来の夢を狭めざるを得ない状況、
そんな時に人々が使わざるを得ない言葉、「No chice」
そんな言葉が生まれるのを少しでも少なくできれば


そんな目的の達成のため、本プロジェクトは開始されました。
この新たな生業を普及させることで、バリウェット集落、近隣のバナバ・ブアグ集落等のアエタ族住民が、各家庭の耕作地でハーブを栽培、ハーブの加工・出荷・企業との調整による販路確保を当会や提携団体のAeta Development Association(ADA)・Foundation for Cultural Survival(FOCUS)が担当する持続性のあるモデルの構築を具体的な目標としています。

2003年から2004年にかけては、その最初の取り組みとして、2ヘクタールの薬樹栽培モデルファーム(3種の薬樹・水道タンク・フェンス・スタッフハウス・スプリンクラー・堆肥小屋・乾燥施設によって構成)の設置を実施してきました。
このモデルファーム設置は、平成15年度日本NGO支援無償資金協力(平成15年10月29日に締結。平成16年10月28日までの1年間)を頂いて実施したものです。



設置前のモデルファームエリア(2003年5月)


2003年11月から2004年6月にかけてのファーム内の設備設置作業の様子


完成した水道タンク・苗床・乾燥施設・スプリンクラー(2004年6月)。



また、ファーム内で栽培するハーブに関しても、ファーム設備の建設作業と並行して2003年11月から2004年6月にかけて苗木の栽培とファームエリアの整地作業を実施。
7月の植林後は、植えつけたサンボン・ラグンディ2種類のハーブの管理を実施してきました。サンボン(Blumea balsamifera L.)はハーブティーや錠剤となり、尿結石の緩和に利用されるものです。ラグンディ(Vitex negundo L.)はハーブティーやタブレットとなり、解熱剤として利用されるものです。2種類とも、フィリピンの保健省が認定したハーブ10種類に属するものです。




左:ラグンディ苗の栽培の様子(2004年3月)
右:ファーム内の整地作業(2004年5月)


ファームへのサンボン・ラグンディ植林の様子(2004年6月)


生育したサンボンの様子(2004年10月)

2005年には、既存の2ヘクタールのファームの管理作業を行う他、新たに3ヘクタールの栽培エリアの拡大を行い、植林と管理作業を実施してきました。


2ヘクタールで生育したサンボン・ラグンディ(2005年7月)


新規エリアでの整地作業(2005年6月〜8月)



ラグンディ・サンボンの植え付けを終えた新規エリアでの管理作業(2005年11月)


また、2005年には、前年までに植えつけたハーブからの収穫が可能な状態になりました。
当初の計画では、ハーブの葉を空気乾燥させた状態での出荷を予定していましたが、細菌混入の危険が高いこと、運搬のコストが割高になること、企業からの要望を受けたこと等の理由から、この加工プロセスを変更することとなりました。
新たに、乾燥用のオーブンと製粉機を購入し、収穫→剪定→洗浄→空気乾燥→オーブン→製粉と、最終的にパウダーまでの加工が可能となりました。また、これにあわせ、空気乾燥用の施設をハーブの加工施設への改築も実施しました。



改築を終えたハーブの加工施設(2005年6月)


剪定・洗浄・空気乾燥の様子(2005年5月〜2005年7月)



オーブンを利用しての乾燥作業(2005年10月)


左:11月に購入した製粉機。ツアー参加者の周藤様からご協力いただいて購入しました。これにより、ハーブの葉をパウダーまで加工することが可能となりました。(2005年11月)
右:パウダー状に加工したサンボン。この状態での出荷を予定しています。


当面の課題は販路の確保です。2003年より、フィリピン国内の製薬企業との交渉を行い、契約栽培が確定する予定でしたが、相手先の業務縮小等の事態により、調整が停滞するという問題が発生しました。
そこで、現在は他の企業数社との交渉を実施し、安定した販路の確保に取り組んでいます。



本プロジェクトは、平成15年10月29日〜平成16年10月28日の1年間、平成15年度日本NGO支援無償資金協力を頂いて実施しました。
完了報告書はこちらをご覧ください。